子供が絶対に足し算と引き算をマスターできる!ステップアップ算数トレーニング勉強法とは?計画とフィードバック実践講座
- 小学生はいつ何を学習する?勉強のコツ教えます(入学前~小学校1年生)
- 小学生に勉強を教えるコツとは?子供の動機を確認するだけで○○を最大化できる理由
- 子供に最短で10までの足し算を教えるには?5進数から始める算数講座
- 子供が絶対に足し算と引き算をマスターできる!ステップアップ算数トレーニング勉強法とは?計画とフィードバック実践講座
前回は「子供に最短で10までの足し算を教える方法」というテーマでした。
上のリンクから各回の記事にジャンプできます。
気になる方は前回も見てくださいね。
このシリーズでは小学校1年生の算数の学習の進め方について説明します。
第4回の今回は足し算と引き算の練習方法です。
学習法も少し出てきますが、
メインテーマは「学習結果の確認と子供へのフィードバック」です。
シリーズ全体のなかで今回のテーマはこちらです。
- 何を学ぶか知る
- 学ぶ内容の前提となる知識・スキルを知る
- 子供の知識・スキルを知る
- 学ぶ目的(子供の動機)を確かめる
- やり方を決める
- 学習する
- 結果を確かめる
第4回もよろしくお願いします。
(今年入学した6歳の娘に勉強のコツを教えたい・・・)
第4回目のねらいは、子供が足し算と引き算をマスターできる練習法を使える状態にすることです。
では、そのために必要なことを順番にお伝えします。
足し算と引き算のステップアップ早見表
個々の練習法を紹介する前に、子供がどのような段階を踏んで足し算と引き算をレベルアップしていくことになるかを見ていきます。
大人であれば自然にできる計算も、習いたての子供にはとても難しいものです。
難しい理由は2つあります。
- 新しい算数のルールを理解して受け入れるのが大変だから
- 繰上げ繰下げのようなテクニックを身につけるのに練習が必要だから
という理由です。
子供がどこで苦戦しているのかを見抜き、効率の良い練習法をアドバイスするのは親の役目です。そのための知識をお教えします。
これらの理由を1つ1つクリアできるように手順を分けて整理したものが、「ステップアップ算数トレーニング」です。
幼児教育アカデミーの「ステップアップ算数トレーニング」は次のような特徴があります。
- トレーニング目的が1つ決まっている
- トレーニング方法が決まっている
- 評価基準が決まっている
- 次のステップに進んでよい条件が決まっている
このように、成果を出すために必要なことが各ステップで決まっているのです。
(ただし、トレーニング教材は自由です。好きなドリルや本を使っていただいでかまいません。)
次にステップアップ算数トレーニングの内容を詳しく見ていきましょう。
ステップアップ算数トレーニングとは?
ステップアップ算数トレーニングで学習するスキルを表にしました。
(カッコ)に書いた数字はトレーニングする順番です。
レベル | 足し算で手に入れるスキル | 引き算で手に入れるスキル |
1 | (1)5までの数の合成 | (3)5までの数の分解 |
2 | (2)10までの数の合成 | (4)10までの数の分解 |
3 | (5)10の理解 | (6)10を下ろす、10を作る |
4 | (7)繰上げ | (8)繰下げ |
5 | (9)計算スピード | (10)計算の正確性 |
順番を見るとだいたい足し算→引き算になっていますね。
この手順のポイントを説明します。
ステップ(1,3)で1~5の数字を全て覚えるまで6以上を計算させないこと。
ステップ(2,4)で1~9の数字を覚えること。
ステップ(3,4)で10の意味を理解すること。
の3つです。
繰上げ・繰下げがポイントだと思っている方が多いのですが、それ以前に1~9の数感※を徹底的に鍛えることがポイントです。
※数感(スウカン):3の隣にあるのは2と4、 5を分解すると(1,4)(2,3)の2パターンしかない、 のような、頭の中で数字を使う時のイメージのことです。
数感は暗算力の基礎となる重要なスキルです。
ちなみに、数学的な知覚全般を意味する「ナンバーセンス」という言葉があります。
ナンバーセンスは数学レベルを上げるのに必要ではありますが、ここでいう数感とは別物です。
次に、各ステップの詳細について説明します。
全体の注意点として念のために明記しておきます。
子供に問題を出すときにはランダムな順番になるようにしてください。
ステップ(1)5までの数の合成
このステップでは足し算を繰り返すことで1~5という数字同士の関係を身に着けます。
トレーニング目的 | 5までの数を瞬時に合成できるようになる |
トレーニング方法 | 答えが2~5になる次の計算を繰り返す 1+1 1+2 1+3 1+4 2+1 2+2 2+3 3+1 3+2 4+1 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | 4が鏡文字になっていても、計算力とは無関係。 無理に矯正してくてよい。 |
ステップ(2)10までの数の合成
このステップでは足し算を繰り返すことで6~10という数字同士の関係を身に着けます。
トレーニング目的 | 10までの数を瞬時に合成できるようになる |
トレーニング方法 | 答えが6~10になる次の計算を繰り返す 1+9 1+8 ・・・ 1+5 2+8 2+7 ・・・ 9+1 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | 6と9が逆になっていても、正しく数を理解していれば問題ない。 無理に矯正してくてよい。 |
ここまでが足し算の基本です。
ステップ(3)5までの数の分解
このステップでは引き算を繰り返すことで足して〇〇になる数という感覚を身に着けます。
トレーニング目的 | 5までの数を瞬時に分解できるようになる |
トレーニング方法 | 答えが0~4になる次の計算を繰り返す 1-1 2-1 2-2 3-1 ・・・ 5-4 5-5 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | 足し算ができていればすぐにできるようになる。 詰まる場合は、足し算の練習不足か 引き算をイメージできてない可能性がある。 |
ステップ(4)10までの数の分解
このステップでは引き算を繰り返すことで足して〇〇になる数という感覚をさらに磨きます。
トレーニング目的 | 10までの数を瞬時に分解できるようになる |
トレーニング方法 | 答えが6~9になる次の計算を繰り返す 10-1 10-2 10-3 10-4 9-1 ・・・ 7-1 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | 慣れたら0~10が答えになる混合問題を出してもよい。 |
こっちは引き算ですね。
小さいステップで練習しやすそうです。
(プリントを自分で作るのは手間かも・・・)
幼児教育アカデミーの計算プリントも別途準備中ですので、お待ちいただければと思います。
ステップ(5)10の理解
このステップでは足し算で10増える、10を作るという感覚を理解します。
トレーニング目的 | 10の理解 |
トレーニング方法 | 10に関する次の計算を繰り返す <10増える> 1+10 2+10 ・・・ 10+10 <10を作る> 1+9 2+8 ・・・ 9+1 |
評価基準 | 正しい答えが言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を全問正答できること |
注意事項 | このステップではスピードは不要。 |
ステップ(6)10を下ろす、10を作る
このステップでは引き算で10減る、10残るという感覚を理解します。
トレーニング目的 | 10を下ろす、10を作るの理解 |
トレーニング方法 | 10に関する次の計算を繰り返す <10減る> 11-10 12-10 ・・・ 20-10 <10残る> 11-1 12-2 ・・・ 20-10 |
評価基準 | 正しい答えが言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を全問正答できること |
注意事項 | このステップではスピードは不要。 |
10を超えると数のイメージがつかめなくなるお子さんも多いです。
ワーキングメモリの上限は7と言われているので、
自己流の数操作だと13あたりで壁があるのではないでしょうか?
ステップ(7)繰上げ
このステップでは繰上げをトレーニングします。
もしこのステップが難しいようであれば、以前のステップが身についてないか、早期学習などでまだ数のイメージが持てない可能性(前提条件の不足)があります。
その場合は前のステップに戻るか、別の学習を優先したほうがよいでしょう。
トレーニング目的 | 繰上げを身に着ける |
トレーニング方法 | 繰上げがある次の計算を繰り返す 2+9 3+8 3+9 4+7 4+8 4+9 ・・・ 9+9 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | ここまでのステップで練習した数の分解などを使って、 子供のなりの繰上げのイメージを持っていることを確認する。 |
ステップ(8)繰下げ
このステップでは繰下げをトレーニングします。
ここをクリアできた子供は、小学校低学年の算数はとてもやさしく感じるでしょう。
掛け算やわり算が出くる2年生になっても、頭の中で自由自在に数をイメージして容易に乗り越えていけます。
トレーニング目的 | 繰下げを身に着ける |
トレーニング方法 | 繰下げがある次の計算を繰り返す 18-9 17-8 17-9 16-7 ・・・ 11-2 |
評価基準 | 1秒以内に正解が言える |
次のステップに進んでよい条件 | 10問を10秒以内で全問正答できること |
注意事項 | ここまでのステップで練習した数の分解などを使って、 子供のなりの繰下げのイメージを持っていることを確認する。 |
繰上げ・繰下げで急に難しくなりましたね・・・
ここまで小さくステップを分けていても難しく感じるのだから、
普通の学習法だとつまずく子が多いのも納得です。
ステップ(9)計算スピード
計算スピードのトレーニングを紹介します。
具体的な方法は別途記事にする予定ですので、しばらくお待ちください。
ここから先は評価基準がなくなります。
100マス計算(100問)で1分20秒という目安はありますが、個人差もあるので気にしないで大丈夫です。
スピードだけでいえば、人よりコンピュータの方が100万倍(!?)速いです。
中学受験で特別に対策が必要でない限りは、子供の思うままに勉強させるだけでよいでしょう。
トレーニング目的 | 早く計算する |
トレーニング方法 | 100マス計算 階段算 エレベータ算 電車算 |
評価基準 | とくになし |
次のステップに進んでよい条件 | とくになし |
注意事項 | 子供のやる気にまかせて気楽に取り組みましょう。 |
ステップ(10)計算の正確性
最後に正確性のトレーニングを紹介します。
受験(学校のテスト)で高得点をとる秘訣は検算です。
引き算は足し算の検算に使えるので、その手順を習慣にするとよいでしょう。
具体的な方法は別途記事にする予定ですので、しばらくお待ちください。
トレーニング目的 | 正しく計算する |
トレーニング方法 | 足し引き検算 補数トレーニング |
評価基準 | とくになし |
次のステップに進んでよい条件 | とくになし |
注意事項 | 子供のやる気にまかせて気楽に取り組みましょう。 |
ステップアップ算数トレーニングは以上です。
ぜひ使ってみてくださいね。
いつ頃どの程度まで練習するのが最適なのか?学年別の目標タイムをまとめました
ステップアップ算数トレーニングの評価基準では1問1秒と書きました。
この数字は100マス計算でいえば、算数が得意な小学校5年生レベルの速さです。
100マス計算と口頭での返事ではかかる時間は違いますので、単純に比較はできません。
とはいえ実際は学年や算数が得意かどうかで目標タイムは変わってくると思います。
そこで、100マス計算(1~20、100題)の目標タイムをまとめてみました。
学年 | 算数が苦手な子の目標タイム | 算数が得意な子の目標タイム |
1年生 | 10分 | 5分 |
2年生 | 8分 | 4分 |
3年生 | 6分 | 3分 |
4年生 | 4分 | 2分 |
5年生 | 3分 | 100秒 |
6年生 | 2分 | 80秒 |
この目標タイムを目安にしながら、子供と話し合って目標タイムをきめて取り組んでみてください。
学年別に100マス計算の目標タイムがあれば最初の目標を決めやすいですね。
最終的には子供が決めれば目標は何でもよいのですが、悩むようなら親が目安を示してあげたほうがスムーズです。
現状と目標から学習プランに落とし込むテクニック
ここからはちょっとしたテクニックを紹介します。
目標設定とか学習プランの作成というと大変な作業と感じるかもしれませんが、簡単です。
手順1:1回測る(例えば100マス計算の時間)
手順2:今の結果を少し良くした数字(例えば10%アップ)を決める
以上、終わりです。
あとは期間を決めます。
これも迷うようであれば、とりあえず1週間にします。
そして1週間後に子どもと話し合って次の目標を決めればいいのです。
目標を決めたり、それを口に出したりするだけでパワーが出ます。
ぜひ試してみてください。
丸付けの手間を最小限にするテクニック
ちょっとしたテクニックその2です。
忙しい親にとって丸付けはかなり負担が大きいですよね?
丸付けの負担が10倍ラクになる(やりようによってはゼロになる)方法があります。
10回足し、10回引き法(エレベーター算)といいます。
このやり方なら子供が一人で丸付けすることもできます。
とはいえ親に大きくマルをもらうのは子供には何よりのプレゼントです。
親子でより良いやりかたを考えてみてください。
10回足し、10回引きで、かけ算の予習にもなりますよ。
子供が成長を実感できるように工夫する
ちょっとしたテクニックその3です。
子供がモチベーション高く勉強を続けるコツは、成長を実感できるように工夫することです。
1日でできたボリュームが増えた。
正解率が高くなった。
計算のスピードが速くなった。
このような成果を表やグラフにして、子供に成長を見せる方法もあります。
スマホアプリやWEBサービスを使えば簡単にできるので、試してみてください。
幼児教育アカデミーでは実践記録ページといって、勉強などの活動を記録する仕組みがあります。LINE通知で1クリックですよ(宣伝)
このページのまとめと次回のテーマ
ここまでのまとめです。
小学校1年生の足し算・引き算をマスターレベルまで上達するための手順を紹介しました。
今回で全4回の「小学校1年生の算数学習」シリーズはいったん終了です。
次回は「小学校1年生の国語学習」シリーズを予定しています。
また、「小学校2年生の算数学習」シリーズや「番外編:算数勉強のプリント活用」も順次公開予定です。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません